ミンダナオ島では、長年の争いにより、些細な子どものケンカさえも大きな武力衝突に発展する「暴力の文化」が蔓延しています。アイキャンは、ミンダナオ島の紛争地に日本人を駐在させ、事業を実施する唯一のNGOとして、同島の武力衝突の影響が大きい14の村において、子どもや教師、村への研修、そして学校建築を通して、地域で持続的に平和教育を実践する「平和の学校(School of Peace)」を作っています。今後、更に他の紛争地において、積極的に活動を展開し、平和なミンダナオを作っていきます。

ICANミンダナオ中部事務所(コタバト州コタバト市)
ミンダナオ島コタバト州ピキット町14村
 フィリピン南部の島、ミンダナオ島では、政府軍と反政府軍(MILF)との間で、40年以上武力衝突が続いています。この紛争のために、過去20年間で12万人が殺害され、200万人が土地を追われました。紛争を経験してきた子どもたちの多くは、大切な人や財産を失い、心の傷を負っており、辛い過去を自身に納得させるために、「憎しみ」を抱いています。真の平和をもたらすには、政治的な合意のみならず、地域レベルで人々の「憎しみ」や「不信感」を取り除くことが求められています。また、教育を受けられなかった若者たちは、生計手段の選択肢が狭まり、生きるために武器を持つことが少なくありません。しかしながら、紛争により何度も通学が妨げられ、また村に学校が整備されておらず、多くの子どもたちが学校に行くことができていないのが現状です。地域において教育の欠如は、平和への妨げとなっています。
2006年~現在
 ミンダナオの紛争地において、平和教育に積極的なモデル校「平和の学校」をつくり、草の根レベルの平和を普及させることを目的に、以下の活動を行っています。
1) 児童や教師、村の役員、宗教指導者への平和教育研修

 長年の紛争は、多くの子どもたちに心に傷を負わせ、また、子どものケンカや隣近所での家畜を巡る口論でさえも、大きな氏(家族)同士の武力衝突にまで発展する暴力の文化を生み出しました。真の平和をもたらすには、地域レベルで人々の憎しみを取り除き、暴力に頼らない問題解決方法を習得する必要があります。このため、地域の学校が平和の学校になるための児童や教師、村の役員、宗教指導者への研修を行っています。
2) 小中学校の教室の建設
 これまでに、この紛争地において、11の教室が出来上がりました。2012年9月には、「平和の学校」のモデル校として、スルタンメモリアル中学校6つの教室と2つのトイレが完成しました。壁には「School of Peace」の文字が大きく描かれ、廊下の窓下には、子どもたちが描いた平和の絵が飾られて、平和を目指す学校であることが示されています。これによって、年間300名以上の子どもたちの教育環境が整えられたとともに、地域での平和教育を推進する拠点が出来上がりました。また、町の南部にあるブロド小学校も2012年度中に出来上がり、年間80名以上の子どもが適切な環境で学ぶことができます。
3) 学用品の提供
 学用品がなくて勉強に支障をきたしている子どもたちに、学用品の提供を行っています。2012年度は約4,000名に学用品を提供しています。 
4) 「平和の学校宣言式典」
 コタバト州知事代理、ピキット町長、MILF副議長代理、バンサモロ開発庁長官代理等の立会いの下、教師や子どもたちによる「平和の学校」宣言が行われ、この地域を平和にしていく決意が表明されています。式典は、多くの地域の人々によって準備が行われ、周囲では、普段は敵対関係にある政府軍とMILF軍が共同で警備にあたるなど、「子どもたちの教育」と「平和」という共通の目的の前に、多くの人々が1つになれた時間でした。今後も平和の学校研修と校舎の修復が終わり、教育省の基準をクリアした学校では、順次「平和の学校宣言式典」を行っていきます。
5) 「ミンダナオ子ども議会」の実施
 年に一回、ミンダナオ各地の子どもたちが集まり、ミンダナオの将来を考える、「ミンダナオ子ども議会」を開催しています。2012年度は、5月に、マギンダナオ、イラヌン、マノボ等10の部族出身の子どもたち32名がミンダナオ各地からミンダナオ南部の都市ジェネラルサントス市に集まり、「ミンダナオ子ども議会’12」が開催されました。子どもたちは自分たちの課題を共有し、互いの経験から学び、よい社会を作っていくために自分たちができることを考えました。「和平合意に至ってほしい。」「それぞれの部族の文化や伝統をもっと豊かに発展させることができるといい。」「親族間の争いはもういい加減どうにかしてほしい。子どもたちが一番影響を受けるんだ。本当の平和に向けて、争っている同士が話し合いをちゃんとすべきなんだよ。」「親たちが十分な賃金が得られるようにすべきだ。」子どもたちは、それぞれの言葉で社会に訴えかけました。
6) 国内避難民への緊急救援活動
 紛争によりミンダナオで国内避難民が発生した際に、食糧等の提供を行っています。
プラバシーポリシー(PDF)
Copyright (c) ICAN All rights reserved.